本体が折りたたみ構造のコンパクトに収納でき、有名なカメラメーカー「ハッセルブラッド」を採用、加えて前後左右に加え上方向にも障害物センサー完備しており、現場での撮影向けエントリーモデルとして導入されているケースの多い DJI Mavic2 Pro ですが、画像処理を行った結果として上手く三次元復元が出来なかったり、初期処理に失敗をするといったお問合せを受けるケースがございます。
当社で撮影データ等を検証した結果、Mavic2 Proで撮影した画像を処理する場合には、以前の記事にある内部標定要素のパラメータ変更に加え、以下のようなポイントに留意をする必要があると考えます。
その1:Mavic2のシャッター機構について DJI社のHPに記載されている通り、本ドローンのシャッター機構は「電子シャッター」すなわち「リニアローリングシャッター」と呼ばれる撮影方式を採用しております。
この方式はフィルムカメラのように、撮影時にシャッター幕の開け閉めで露光をするのではなく、電子的にセンサーへ順次露光をすることでコストを抑えることが出来る機構となっておりますが、撮像素子(センサー)へ一度に露光をしないため、移動をしている物体の場合には「ローリングシャッター現象」と呼ばれる歪みを発生させる原因となります。
Pix4Dmapperは通常の設定では「グローバルシャッター」を前提とした処理テンプレートになっていますが、本機種で処理をして正しい成果が得られない場合には、以下の通り画像プロパティエディタの中にあるカメラモデルの設定を変更して「リニアローリングシャッター」に設定変更をする必要があります。
画像プロパティエディタを開き「選択されたカメラモデル」の「編集」ボタンを押す
カメラモデルの設定画面にある「シャッターモデル」を「リニアローリングシャッター」へ変更をして「OK」ボタンを押して設定変更後に画像処理を行います。
以下は同一の写真をグローバルシャッター(デフォルト設定)で処理をした場合と、リニアローリングシャッター方式に変更した場合の結果の相違を示します。
グローバルシャッターの設定で画像処理をした結果(両端がねじ曲がって初期処理が収束していることが分かります)。
リニアローリングシャッター方式に変更した場合の結果(適切な補正をかけているため、ねじれ現象が解消されています)。
その2:シャッタースピードの選択 シャッター速度は撮影時にセンサーへの露光時間となりますので、シャッター速度が遅いと、露光が完了するまでに機体が移動した距離分だけ画像の「ぶれ」となって表れてきますので、適正露出の範囲内で可能な限り早い速度で撮影することを心がけてください。 その3:自動飛行時の飛行速度 電子シャッター方式の場合には、1枚の画像を作成するまでのセンサーが順次スキャンをしますが、その1で記載をした通り、リニアローリングシャッター方式の特性上、撮影対象物が静止している場合には問題ないものの、ドローン空撮のように移動をしながら撮影をする場合には、速度が早ければ早いほど「ローリングシャッター現象」による画像歪の影響を大きく受けます。一般的に自動飛行アプリを使用する場合には最小限の飛行時間で撮影を完了させるような飛行計画を作成しますが、これによって撮影中の移動速度は最大となるため、ローリングシャッター現象の影響を最小限にするためには移動速度は最小限に抑えることが重要であると考えます。
まとめ
導入コストや小型軽量で現場での取り回しを考えた場合、Mavic2Proを「最初の1台」としてご購入されるケースが多いかと思いますが、上記の通り、ローリングシャッター現象による写真の歪みなど画像処理をする上で考慮すべき事象があるため、測量用途を検討されている方は、メカニカルシャッター採用の「Phantom4PRO V2」や「Phantom4 RTK」のご利用をお勧めします。特にPantom4 RTKについては地形追従機能が使用でき、傾斜地や峡谷など従来の自動飛行アプリでは難しい「地上との相対高度を一定に保つようなダイナミックな飛行経路」の作成ができるため、測量分野で正しい結果を出すためには最適な機種であると考えます。これから測量分野でドローンの新規導入を検討されている事業者様は上記の点を考慮されることをお勧め致します。
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